サクラスミレは、なかなか出会えない貴重さと、その大きな花のきれいさから、誰もが憧れるスミレだろう。祖父に連れられ初めて見たときは、それはそれはうれしかった。サクラという名前は、その花弁の先っぽが桜の花のそれのように少しくぼんでいることによるそうだ。
サクラスミレ
桜菫
学名 Viola hirtipes
スミレ科スミレ属(ミヤマスミレ類)の多年草。地上茎なし。草原など日当たりのいい場所を好む。やや明るめの紫色の花は、花弁が広く、とても大ぶりに見える。葉は長三角形から長卵形で、地面に対して垂直に近い角度で立つように生える。葉脈が赤いものをチシオスミレと呼び、品種として区別されているが、葉脈以外はサクラスミレと同様である。
サクラスミレの全草
道路工事によって日当たりがよくなった林道沿いに生えていた株。
こちらは草原の斜面に生えていた株。花の存在感が大きい。一株につき葉は1~3枚程度しか生えておらず、とてもすっきりした構造をしている。
サクラスミレの花
サクラスミレの花は明るめの紫色。基部はややすぼまった漏斗のように咲くので内部が見えづらいが、それでもわかるほど側弁には毛が密生している。
すべてとはいかないが、花弁の先がこのように切れ込む個体がある。これがサクラスミレの桜たるゆえんである。
大ぶりに見える花は実際大きく、縦横2センチにおよぶ。(ちょっとずるいが、チシオスミレの写真から拝借)
側方から見たもの。この株は距が情報にぐっと曲がっているが、ふつうはまっすぐである。生える環境がアカネスミレと似ており、また実際混生していたりするので識別に注意が必要だが、サクラスミレの萼片や花柄にはアカネスミレよりも毛が粗くまばらにしか生えない。距も基本無毛である。
サクラスミレの茎、葉
サクラスミレは地上茎をもたない。また、葉はこのように直立するように生えることが多い。葉、葉柄、花柄とも毛は生えるが、アカネスミレほど密ではなく、触ってもビロードのような感触はない。代わりに、毛の長さはアカネスミレより長め。
類似種・関連種
チシオスミレはサクラスミレの葉脈が赤くなった品種。
アカネスミレは植物体の毛がより高密度で、触るとビロードのよう。
コメント
[…] おけば走る子2020.05.09サクラスミレ/地上茎なし。大ぶりの紫色の花を咲かせるきれいなスミレ。https://choro9.com/1924/サクラスミレは、なかなか出会えない貴重さと、その大きな花のきれい […]