白い花を咲かせるスミレのは多いが、宮崎で見かける種類はニョイスミレかフモトスミレか、このコミヤマスミレの3つがほとんどといっていいだろう。3種の中でもコミヤマスミレは平地よりも比較的山あいで出会うことが多い。
コミヤマスミレ
小深山菫
学名 Viola maximowicziana
スミレ科スミレ属(ミヤマスミレ類)の多年草。地上茎なし。山地の暗く湿った林床を好む。紫の線条がある白い花はフモトスミレと似ているが、コミヤマスミレの萼片は反り返ることが重要な識別点。フモトスミレ同様、葉も花も個体差が大きいために識別に迷うことが多いスミレのひとつ。
コミヤマスミレの全草
手元の図鑑に「もっとも暗いところを好むスミレのひとつ」として紹介されている通り、昼でも暗くてじめっとした林床に生えていた。
葉の色や雰囲気には特に個体差があるので、これも同じコミヤマスミレかと戸惑うことも多い。こちらは葉の色が明るいもの。
コミヤマスミレの花
コミヤマスミレの花は白く、唇弁に緻密な紫条が美しい。花弁が縮れるようにカールして、きゃしゃに見える。側弁の基部に毛が生えている。
下はフモトスミレの花。個人的にはとても良く似ていると思う。両種とも個体差が大きいので厄介。
コミヤマスミレの萼片は下の写真のように、花弁からはがれるようにそりかえっている。これはとても重要な識別点で、花がよく似たフモトスミレの場合、萼片は反り返らず花弁にピッタリ沿うようにくっついている。
またコミヤマスミレの萼片は有毛であることが多い。
コミヤマスミレの茎、葉
コミヤマスミレは地上茎なし。葉は卵円形で鋸歯があり、近づかなくても見えるほど毛が多い。また、他種に比べて毛が長めである。(上の葉のように色が明るめの場合、宮崎にはヒュウガスミレというコミヤマスミレの品種が存在する。しかしこれは数が少なく、ずっと毛が少ないらしい)
別の株の葉。色が濃く、斑入りである。また鋸歯が微小で、全縁に近い。
このように、コミヤマスミレの個体差は特に葉で激しい。図鑑の写真で見るに、鋸歯がもっと強く入るものも多いようだ。きれいな葉のコミヤマスミレに会えるとちょっとうれしい。
類似種・関連種
フモトスミレは萼片が花弁に沿い、反り返ることは無い。
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