9月16日、祖父が宮崎県南の渓谷に遊びに行くというので、祖父に万が一のことがあった時のために同行。そこで見つけたヤクシマアカシュスランのことを書こうと思う。まじないのように長いカタカナだ。
なお、祖父は全くもって無事である。
山を歩いていくともう秋の花。まだあまり賑やかではないけれど、ちょこまかと咲いている。
水のしたたる岩には一面イワタバコの花。葉っぱがタバコの葉に似ているからこの名前。葉っぱは吸えないけれど食べられるらしい。
ガンクビソウ。あのホームズとかがくわえてそうなキセルの、煙を吐く首の部分。あれを雁首(がんくび)という。雁首に形が似ているから、ガンクビソウ。なんだか煙草にちなんだ植物が続いてしまった。ちなみに当方は非喫煙者です。
ずうっと歩いて渓谷を登っていくと、崖の上の方にたくさんヤクシマアカシュスランが咲いている場所があった。絶滅危惧種だけど、ありがたみの無いくらいたくさん。そこだけで20株以上生えていた。シュスランの仲間は群生しやすいそうだ。
ヤクシマアカシュスラン
屋久島赤繻子蘭
Hetaeria yakusimensis
ラン科ヒメノヤガラ属
写真のように苔むした水っぽい崖や、あまり日の当たらない湿っぽい場所に生える。高さ15cmにも満たないくらいだから、見落としやすい。
花のアップ。太い腕がグググっと出て、その先にアンテナがぱかっと開いているような花。ムキムキに見える。類似種のカゲロウランは左右にぱかっと開いた部分(側萼片)がこんなに幅広の丸っこい形ではなく、もっと細長いらしい。
こちらはまだつぼみの株。9月中頃の段階ではまだ半分以上の株でつぼみのままだった。
つぼみのアップ。腕の先に開く前のアンテナがカプセル状についているみたい。
葉はすごく短い毛に覆われていて、ビロードのようなスベスベした感触。気持ちいい。中心の葉脈が白く一本目立っている。
そもそも繻子(しゅす)が布の折り方の名前で、ビロードにに似て滑らかな手触りなのだそう。葉が乾くと赤変するから赤繻子蘭。シュスランの仲間をビロード蘭ともいう。
カゲロウランは、葉の基部が分厚く茎を抱く、と図鑑には書いてあるのだけれど、この子もけっこう分厚いような気がするなあ。
コメント
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