8月21日、毎年ほぼ欠かさず通っている県北の山へ。ぼくのFITじゃちょいと厳しい岩の道。なので毎年夏が来ると祖父に「今年も連れて行って」と懇願し、四駆のラッシュで突撃してもらっています。それくらい好きな山です。
鹿よけネットの外の植物
この山は鹿よけネットが張り巡らされてる。そうでもしないと植物が守れないくらい、鹿の食害は深刻。
そんな鹿たちの雨あられのなかで、逞しく裸一貫で生きている植物もいる。
ツルリンドウ
遊歩道沿いに、朝顔のような雰囲気で咲いていたのはツルリンドウ。その名の通りつる性のリンドウ。うすい紫色の花がとてもきれい。
ツチアケビ
一転、何とも奇妙な姿をしている植物。邪念を表現した現代アートとか適当なことを書いて美術館の彫刻の中に混ぜておいてもばれないのではないか。
名前はツチアケビという。何がアケビの要素を満たしているのだろうか、とよくよくジロジロ見てみると
あー、確かにそういわれたらアケビっぽいかも? と思うような果実がついていた。由来はこれらしい。
ミヤマツチトリモチ
こちらは別記事でも紹介しております、ミヤマツチトリモチ。この卵形の部分が花序。粒粒に見えるのがぜ~んぶ雌花。しかも雄花も雄株も確認されていない単為生殖の植物で、寄生生活をしていて、APG分類が確定していなくて、というミステリアスな植物。
ミヤマツチトリモチの記事:ミヤマツチトリモチ(キュウシュウツチトリモチ)/赤いキノコのような夏の植物
鹿よけネット内の植物
鹿よけネットの外は、下草がほとんどない殺風景な世界だけど、一歩ネット内に踏み入ると、別世界のような植物たちの茂りよう。ただ、今年はちょっと時期が悪かったのか、花は少なかった印象。
ソバナ
青紫の涼しげな色の花が、提灯のように並ぶこれはソバナという植物。
「ソバ」というのは険しい崖地を指すそうだ。
確かに山頂付近の岩場に近いところに生えていた。食害で減少している植物のひとつ。
シコクママコナ
この時期に、ちょっと標高の高いところに行ったら、一番目に付きやすい花かもしれない。シコクママコナという花。
今回見た植物でも、一番数が多かったような気がする。
ママコナという名前の由来はこれ。
花弁に横並びに二つ、白く膨らんで見える箇所がある。これが米粒(=ままこ)ということらしい。
チョウセンキンミズヒキ
ミズヒキと言いながらも、キンミズヒキ系はバラ科。中でもチョウセンキンミズヒキが見られる場所は九州ではここだけだとか。黄色い花がミズヒキのように並ぶ。
開花時期がキンミズヒキより早いのと、花がまばらなことが特徴。
ヤハズハハコ
まるで雪化粧をしているかのように、白い毛に全草をおおわれている植物を、この山の岩地では2種類見ることができる。
これはその一種類目、ヤハズハハコ。ハハコと言われれば確かにハハコグサっぽいかもしれない。
花が細かく作りこまれた飴細工のようで、好きな花。
コウスユキソウ
雪化粧二種類目。その名をコウスユキソウという。なんともそれらしい和名じゃありませんか。
葉っぱがヤハズハハコよりも広くて薄いのが見分けるポイント。
ちなみにこの写真、けっこうな崖っぷちでオドオドしながら撮影してます。
イワキンバイ
こちらはほとんど花が終わりかけていたイワキンバイ。数は少ないけれど、花が見られてよかった。
岩地に咲く、金色の、梅のような花、これすなわち岩金梅(イワキンバイ)ということらしい。ストレートなネーミングなのでとても覚えやすい。春には親戚筋のツルキンバイというのも咲くようだ。
ホソバシュロソウ
時期が微妙なために花が少ないのは残念だったけれど、うれしかったのはホソバシュロソウが満開だったこと。
今までは花が終わったタイミングでしか見られなかったので、それはそれは写真を撮りまくった。
アップで見ると、とてつもなく怪しげな赤紫色の花。でもきれい。
こんだけ植物を羅列しても、まだ今回見た植物の半分にも満たないのだからおそろしい。
毎年来るけれど、種類が多すぎて植物たちの名前を覚えきれない。
どうか覚えきる日まで、こんなにも植物の豊かな山のままあってほしい。
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